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ウサギ小話 第14話「忘れられないウサギたち5」

動物を飼い始めるとき、あなたはどんな方法、きっかけで飼い始めますか?

もちろん動物の種類によっても違うでしょう。

私の病院では犬はペットショップやブリーダーさんから購入する方が多いですし、猫は偶然保護したり、知人や保護施設から貰い受ける方が多いように思います。(猫は飼い主を自分で選んだり、自分の子供をひきうけてくれそうな家の前に置いていくような事例が多々ありますが)

ではウサギはどうでしょう。

ウサギでも一番多いのはペットショップで購入したという飼主さんです。

小学校や、幼稚園から貰い受けたという方もよくいらっしゃいます。

最近では公園で繁殖してしまったウサギを保護して希望者に譲渡することをボランティアで行っている方々もいるようです。

飼い始めた理由、方法はなんであれ、ウサギはどのおうちでも自分を通しながら可愛がられて生活していけるようです。

また、ウサギを飼い始めた方もウサギのさまざまな性格に一喜一憂しながら、やはり自分のところのウサギが一番可愛いと思っていらっしゃるようです。

10年ほど前の夏のことです。

ウサギととても印象的な出会いをした飼い主さんがいらっしゃいました。

私の病院は利根川という大河川がすぐ近くを流れています。

休みになるとその土手は〔土手といっても川筋はみえないくらい遠くにあるのですが〕犬を連れた人や、自転車にのったひと、また季節をたのしみながらウォーキングにはげむ人々でけっこうにぎわっています。

土曜日の午前中だったと思います。若いご夫婦が紙袋のようなものにウサギをいれて来院されました。

ウサギはぐったりして動けない状態です。

すぐに、背骨を脱臼もしくは骨折していて下半身麻痺になっているとわかりました。

お話しをうかがうと、二人で土手を散歩していたところ、犬の声がしたとおもったら、草むらからこのウサギが這いずりながら出てきたというのです。

そのまま手近のものでウサギをくるみ、病院に直行されたのでした。

ウサギは背骨の後方の仙椎が脱臼し、腰椎の最後尾の部分が骨折していました。犬に追われて逃げる際に骨折したか、軽く銜えられて振り回されたと思います。

ウサギはショック状態で重体でしたが、まだ若い個体で、栄養状態などは良好でした。

毛によごれが付いてないことから、おそらく遺棄されてすぐに怪我をしたものと思われました。野外の生活が不慣れナウサギにとって、土手の草っ原は恐怖そのものだったと思います。

犬に追われて怪我をして、後ろ足が動かせなくなり、前足だけで這いずっていたところをこのご夫婦に保護されたのです。

その後のこの子については次のプログに書いていきますね。